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パキスタン ビンラディン急襲で米を批判 [政治]


【アボタバード(パキスタン)】パキスタン外務省は3日、米国が事前の許可申請や通告をせずに国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者をパキスタン国内で急襲して殺害したことを「憂慮」している、との声明を発表した。同省は「許可を得ていない、この一方的な行動は通常認められない」としている。

 1000語から成るこの声明は、2日に米軍部隊が中央情報局(CIA)の指揮の下に、ビンラディン容疑者が潜伏していたアボタバードの住宅を急襲して同容疑者を殺害した直後にパキスタン政府が出した短い声明とはトーンを異にしている。

 外務省は2日の声明で、この作戦は米国によって実行されたとし、パキスタンはそれまでの情報収集で米国に協力してきたと指摘していた。しかし、3日の声明は、米による急襲は領土の侵犯だとする国内世論の批判を受けて、厳しい姿勢に変わった。英語版の声明は「米国の行動は同国も含むいかなる国の将来の前例となってはならない」と強調した。

 3日の声明は、その多くが反米的である中間層の、メンツをつぶされたとする不満を鎮めることを狙ったと見られる。アボタバードの弁護士オワシス・カーン氏は、自分が所属する弁護士協会は米国の一方的行動に抗議するよう求める書簡をザルダリ大統領とパキスタン軍のカヤニ総司令官に送ったと述べた。カーン氏は「米国の行動はパキスタンの主権に反する」としている。

 これまでのところパキスタン軍は沈黙を守って、ビンラディン容疑者の殺害への対応を政府に任せている。こうした中で政府当局者は3日、同国は急襲に関して米国に抗議してはいないと言明した。その上で、同日の外務省声明は国内世論があるためパキスタンとして言わなければならないことだと話した。

 同当局者はまた、ビンラディン容疑者の殺害につながった情報収集におけるパキスタンの役割は一定限度以上のものではなかったと指摘した。同国の軍隊あるいは情報機関の一部が同容疑者を保護していたかどうかは明らかではない。同当局者は「最善の場合でわれわれの無能力ということになり、最悪の場合は共犯ということになろう」としている。

 外務省の声明は、パキスタンの軍隊と情報機関が同国やその他の国にいるアルカイダなどのテロ組織の弱体化に重要な役割を果たしたと称賛している。こうした声明は、同容疑者がアボタバードに潜んでいることをパキスタンが知らなかったはずはないのではないか、という殺害後から浮上している米国などの当局者の疑念を和らげることを狙ったもののようだ。

 米国の当局者らは2日、パキスタンの軍隊と情報機関の一部がビンラディン容疑者が捕まらないように協力していなかったかどうか調べていると述べた。同国の3軍統合情報局(ISI)は同日、同容疑者を保護したこともなければその所在についても知らなかったとし、所在を把握できていなかったことに困惑していると述べた。
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